両耳の難聴
手指の感覚と問診で、反応のある場所を見つけて、根気よく刺激を加えて改善していただけた。
《難聴後の耳の症状》でお困りだった患者さまからご感想をいただきました。今回も1年ほど前にいただいたご感想ですが、メンテナンスでお越しいただき、さらに改善してきたので再アップいたします。
体は複雑なネットワークなので、何が効くのか、単純には分からないという視点に立って、様々なことを試しながら、有効な治療を見つけていただけた。
そうなんです。ヒトの体はまだまだ分からないことが多いのです。
私も難しい症例では、有効な治療を見つけるまで、焦らずでも少しでも早く変化を出すことを心がけて施術しています。
この方は状態が良くなってきてからもメンテナンスで定期的にお越しいただいているので、その推移がとても勉強になっております。いつもありがとうございます。
異常が見つからない・見つかっても治らない場合は…
この方は、右耳の突発性難聴が起こり、その後の耳の症状(聴覚過敏、耳閉感、音が歪む、音が二重に聞こえる)ということでご来院されました。
実は20数年前には左耳の突発性難聴を起こし、左耳はほとんど聴力を失った状態でした。それがさらに右耳もとなると、生活にも大きく支障が出るし、また精神的にも大きな負担になります。
いろいろと病院や耳鼻咽喉科を回られた後だったので、東洋医学的なアプローチに賭けておられたのかもしれません。
いつも書いていることですが、《今ある症状(痛みも含む)は原因ではなく結果的に出ているということ。》
「患部を施術すれば改善する」という単純な場合もありますが、慢性的・複合的な要素が絡む症状は多くの場合、患部を治療しても良くなりません。そんな場合は、施術側も患者側も諦めずいろいろな可能性を試すことが必要になります。
特にこういった症状は、聴力検査などである程度原因は絞れるようですが治療がうまく進むこととは別。
脳腫瘍などの大きな異常が見つかれば病院(西洋医学)の範疇ですが、異常が見つからない・見つかっても治らない場合は東洋医学をご検討いただければと思います。
今回はそれを再確認し、とても勉強になっている症例となりました。
施術と再発予防
触診すると、耳周りはもちろん、頭がとても硬い。キンキンに突っ張っている。そして首~肩が硬く、足まで硬かったのが印象的でした。
頭が硬いと言うと、多くの方が「頭が硬い?それは骨だからですよね?」と驚かれます。
もちろん頭蓋骨は硬いものですが、実はその頭蓋骨の硬さは人によって違います。
頭蓋骨にはつなぎ目があり、そこがカチッと固まっている人と、ふんわりと適度に緩んでいる人により硬さの種類が分かれます。
何千・何百人の頭を触るとその硬さは歴然と違います。もちろん適度に緩い方がいいです。
頭が硬い方に多いのは…
- 仕事でよく頭を使う
- 日々に追われ精神的な余裕がない
- 悩みごと考え事が絶えない
- 長期的にストレスを抱えている
- 目をよく使う
この方のお仕事も、頭をよく使い、忙しくストレスも多い様でしたので、当てはまりました。
そして難聴(両耳)の不安や恐怖・ストレスも余計に頭に負担をかけていると想像つきました。
まずそのキンキンに硬くなった頭や首の緊張を和らげること。
頚椎(首の関節)の動きが安定的に良くなり始めた時に、耳鳴りや耳閉感がスッと抜けたりして、とても喜んで下さりました。
やはり希望が持てるとお互いに嬉しいものです。
といっても首や肩をマッサージしたから改善したわけではないんです。正直言うと初めは患部のマッサージもしていましたが、どうもシックリ来なかったんです。良くなったようでも持続しませんでした。
いつも《今ある症状(痛みも含む)は原因ではなく結果的に出ているということ。》といいながら、その時は少しでも早く楽になってもらいたい、と症状にとらわれてしまっていました。
患者さんの体が「先生、そこではないよ」と教えてくれていたわけです。
そこに気づいてからは、全体をみて施術を心がけ、少しずつですが着実に変化が出てきました。
そして一番驚いていることが20数年前に聴力を失った左耳が回復してきていることです。
ほぼ聞こえなかった状態から少しずつ音が回復(音ズレをしたような音に)し始め、今日現在ではその左耳でも声を聞き取れるようにまで回復してきています。
人間の自然治癒力にはすごい可能性がある、と私も驚かされています。
ご感想
以下がいただきましたご感想です。ありがとうございました。
来院される前、どのような症状でお悩みでしたか?
難聴を起こした後、聴力は回復したものの、聴覚過敏、耳閉感、音が歪む、音が二重に聞こえる、などの内耳の障害が残り苦しんでいた。
運動によりいくらか改善することがあったり、腰のマッサージなどで音が変化するなど、耳鼻科医に訴えても、相手にされないような状況で悩んでいた。
内耳周辺の血流やリンパ液の流れが影響していると想像されたが、西洋医学的な処置では、改善の方法がつかめなかった。
現在その症状はどう変わりましたか?
音の歪みが著しく改善し、ピアノや弦楽器の音が、難聴以前にかなり近づいた。
聴覚過敏・耳閉感が無くなった。また耳の回りや首筋の凝りが改善した。
耳管や副鼻腔の奥に感じていた形容しがたい圧迫感が取れるようになり、コントロールできるようになった。
横になった時に、右を下にした場合と左を下にした場合で、耳管の詰まり方が変わるようになり、内耳付近のむくみが関係していることを確信するようになった。
当院と他の医療機関とはどんな点で違いますか?
問題のある部分に対して、教科書的にアプローチするだけでなく、手指の感覚と問診で、痛みや張りなどの反応のある場所を見つけて、根気よく刺激を加えて、改善していただけたこと。
体は複雑なネットワークなので、何が効くのか、単純には分からないという視点に立って、様々なことを試しながら、有効な治療を見つけていただけること。
基本的に院長が勉強熱心であること。
最後に、同じ様な症状でお悩みの方にメッセージをお願いします。
難聴はストレスと運動不足の結果なので、整体での治療が良く効くと思います。耳鼻咽喉科で、腫瘍などの深刻な病気の疑いが無いことを確かめた後は、運動や整体で内耳周辺のむくみを取ることが有効だと思います。